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メンタルヘルス研究室 ~迷える子羊たちのために~

あなたに出逢えてよかった。別れても、またいつか会える。

TVドラマ 『僕らは奇跡でできている』

視聴率は6~7%と事前予想より低かったようですがとても面白かったです。視聴率が低いのは「一輝の言動にイライラさせられる」「何を言いたいのかわからない」「KYな一輝に共感できない」等々の意見があるようです。

最終回の視聴率は低迷して5.6%だったようですが、いい終わり方だったと思います。「宇宙飛行士になる」という夢に向かって進むことを宣言して終わるというラストでしたが、ロシア語と水泳を習っていたのはそのためだったんですね。伏線が回収されました。(^^)

樫野木准教授との関係はよくなりましたが歯科医の水本先生との仲は進展せず。ラブ成分は少ないけどまあまあいい関係で終わってよかったと思います。山田さんのお友達「親切な大河原さん」は家政婦以上に世話をやきたい山田さんの創作だということに一輝は気づいていました。一輝は一見鈍感でKYですが、実は人をよく観察していることがこの点でもわかります。

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主人公の相河一輝(高橋一生)は発達障害では? とも言われていますが、公式サイトでは一切触れられていないようです。ADHD(またはASD)ではないか? などとブログ等で書かれているようです。変人の度合いで言えば毎日アリの行動観察をしていてプライベートで変な動画をネットに挙げている沼袋先生(児嶋一哉)のほうが上だと思いますよ。(^^)

私からすれば一輝が発達障害か否かはどうでもいいことで、自分のやりたいことを仕事にしている相河先生がうらやましい限りです。このドラマのキモは、向上心の高い樫野木准教授や歯科医の水本先生と、マイペースに生きている相河一輝や沼袋先生との対比にあると思います。

一生懸命に頑張りすぎて幸福になれない樫野木先生と水本先生。変人と思われてもマイペースに生きる相河一輝と沼袋先生。そういう一輝の生き方の本質をしっかり見ていてあたたかく受け入れている鮫島教授と一輝の祖父。若い学生たちはなんとなくそれがわかるため、相河先生を慕っているんでしょう。

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このドラマのテーマは「幸せになる生き方」だと思います。「自分はどうあるべきか」にこだわる生き方は人を幸福にしません。「自分はどうしたいのか」を考えて生きれば幸せになれるということだと思います。

相河先生のようなKYでちょっと変わった人や悪気はないが挙動不審な人はわりと身近にいます。10人に1人とは言わないけれど、20人に1人くらいはいるような気がします。中高生なら1クラスに1人か2人はいるんじゃないでしょうかね。

KYだから鈍感というわけでなく、悪意やトゲのある言葉には人一倍傷つくし、自分が他人と変わっていること、変人だと見られていることも自分でわかっていることが多いのです。無理に他人に合わせようとしても合わせられない自分に悩むが、1度落ち込んで這い上がって来た人はどこか突き抜けたところがあって、マイペースに生きている。そんな感じがします。

もし身近にそういう人がいたら、ツンケンせずにあたたかく接してあげてください。そのKYさに辟易することがあるかもしれませんが、悪意がなく裏がないという長所を見てあげて欲しいと思います。

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一般的に女性は相河一輝のようなKY男性は苦手でしょう。黙っていても心の中を察して気の利いた言葉をかけてくれる男性のほうが断然魅力的ですからね。でも一輝のような人は多少(あるいはかなりな)変人でも基本的に悪いことはしないし嘘もつきません。故意に人を裏切るようなこともしません。

嘘をつかないことは、裏を返せば不器用で嘘が言えないということでもあり、相手に対して面と向かって自分が思っていることをストレートに言ってしまい、結果的に相手を傷つけてしまったり怒らせてしまう場合もあるということです。このあたりの不器用さを許せるかどうかがこういう人とうまくやっていけるかどうかの分かれ目になるでしょう。

歯科医の水本育実(榮倉奈々)や樫野木准教授(要潤)は、一輝の性格を理解できず、しばしばイライラさせられていましたが、「あ~この人はこういう人なんだ」 と、なんとなく理解できてからは、気の置けない友人として接することができるようになりました。ただし全部を理解できたわけではないことを知っておく必要があります。そうでないとまたイライラさせられることになるでしょう。(^^;

これは人間関係をうまくやっていくひとつのコツだと思います。自分の視点でしか相手を見てないから相手の言動が理解できなくてイライラするわけで、自分とはまったく違った視点でモノやヒトを見ている人もいると思えば、理解できない他人の言動は理解できないまま保留にして付き合えばよいということになります。

そのうち理解できるようになるかもしれないし理解できないまま別れてしまうことになるかもしれませんが、「変わった人だけど悪い人じゃなさそうだから、ま、いいか」くらいに思えれば、イライラすることなく付き合っていけると思います。

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今後日本でも外国人と同じ職場で働く機会が増えると思います。自分が無意識に相手に要求している「普通」や「常識」が通じない相手も増えることでしょう。その場合に、「非常識なヤツ」「KYなヤツ」と感じてイライラするのは自分が「井の中の蛙」である証拠だと思って、どうしてそう思うのか、どうしてそんなことをするのか、相手に興味を持ってたずねてみましょう。

返ってきた答えが自分に理解できる保証はありませんが「世の中には自分に理解できない人もいる」と思えば、そのぶん自分の心が広くなります。少なくともストレスを感じなくてすむようになるはずです。自分がその人を理解できないのと同じようにその人から見て自分は理解できないかもしれません。「普通」や「常識」は「多数派の考え」に過ぎないことを理解できれば、人間の幅が広がるというものです。




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テーマ:テレビドラマ - ジャンル:テレビ・ラジオ

ヒトゲノム編集は人類進化の必然なのか?

日経新聞のサイトから引用します。
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中国で「ゲノム編集女児」誕生か 大学側は「倫理違反」
日経新聞 2018年11月26日


【広州=川上尚志】中国の南方科技大学(広東省深圳市)の研究者が、遺伝子を効率よく改変できる「ゲノム編集」技術をヒトの受精卵に使い、双子の女児が11月に誕生したと主張しているとAP通信などが26日報じた。事実なら、ゲノム編集で遺伝子を操作した子供が生まれたのは世界で初めて。
(以下省略)
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本当かどうかはわかりませんが、とうとうやったか!というのが感想です。
誰かがやるに違いないとは思っていましたが、やはり中国でしたか。

中国は経済政策では事実上共産主義を廃止しましたが、思想的には基本的に唯物論ですから、人道主義や人権保護という概念はなく、人間と動物に区別はないはずです。中国ならやりかねないと思っていたところへ今回のニュースです。妙に納得しました。

ヒトゲノム編集を予想した記事をいくつか挙げておきます。

中国・米国・英国で進行する受精卵のゲノム編集
予感される「デザイナーベビー・ツーリズム」の到来
2017年11月30日 粥川準二 サイエンスライター


暴走する中国の研究者たちが遺伝子操作の「最後の一線」を超える
現実になってきた人間の“遺伝子組み換え”
2015.7.26



この記事を読んで、つい最近読んだ本の内容を思い出しました。
機本伸司著『究極のドグマ』ネタバレ・感想から引用します。
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『究極のドグマ』のテーマはヒトの遺伝子組み換えです。

ゼウレト日本支社高分子研究所の皐月拳顧問は、最近の傾向として精子の数が減ったり運動能力が低下している原因は社会の成熟にあるという。またY染色体は退化しつつあり、このままではいずれ人類は女ばかりになり両性生殖ができなくなるという。

「要は、強い者が生き残り、子孫を残す。生物界においては本来、弱肉強食以外に掟(おきて)はないんだ。愛とかヒューマニズム、あるいはモラルといったものに感化されていては、人類絶滅を早めるだけだと私は思っている」と皐月顧問は言う。

皐月顧問の主張では、社会が成熟すると本来は生存競争によって淘汰されるはずの弱い遺伝子が生き残ることになり、そのことで人類という種全体が弱くなり絶滅に至る。人類の絶滅を救うためには遺伝子を操作して知的にも肉体的にも人類という種を強化する必要がある。

ゼウレトの遺伝子組み換えで生まれたと称する王兵牌(ワン・へパイ)という名の15歳の天才少年は、ゼウレト社から提供された10億円のヨットに乗り1人で生活しながら遺伝子の研究をしている。ワンは、自分は遺伝子操作によって強化された遺伝子を持っており、自分が生まれた理由を、人類の遺伝子を操作して知的にも肉体的にも強い遺伝子を持った人類を作り出すことにあり、それは人類の必然であるという。
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小説の中で皐月顧問は、進化は弱肉強食の環境の中でなされるもので、ヒューマニズムやモラルに感化された成熟した人間社会ではヒトの遺伝子は弱体化するというようなことを述べています。少子化や成人男性の不妊症の増加も人間社会の成熟が原因であるとも述べています。

おおまかに要約補足すると、以下のような内容です。
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人類も他の生物と同様に適者生存原則によって進化してきたが、文明の発達によって自然環境を人類の生存に適した生活環境に変えることができるようになった。人道主義や人権保護意識の発達によって社会的に不利な性質を持った個体が淘汰されずに生存繁殖できるようになり、医学の発達によって生物的に不利な性質を持った個体が生存繁殖できるようになった。こうして人類には他の生物とは違って適者生存原則が機能しなくなった。

適者生存原則という進化の方向性を失った人類は、生物的社会的に生存に不適な個体が淘汰されずに生き残り繁殖してその遺伝子を残すようになり、本来淘汰されて消滅すべき生存に不適な遺伝子が増えることでヒトゲノムそのものが弱体化していくようになる。放置すれば人類は遺伝子の弱体化によって滅亡の運命をたどるだろう。

しかし自然的適者生存原則という進化の方向性を失った人類は、自らの遺伝子をデザインしてヒトゲノム編集をおこなうことで遺伝子を強化し人工的に生物的社会的に生存に適した子孫を作り出していくことにより自らの種を存続繁栄する方向へと進化の方向性を定めていくことになるだろう。それが人類進化の必然なのだ。


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これは私自身がそのように主張したいわけでもなければ、機本伸司氏がそう主張しているわけでもありません。ひとつの考えた方として提示しているにすぎません。

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生命倫理の根拠は、人道主義や人権保護にあるのでしょう。
上記の例では、中国の研究者はHIVに感染しない遺伝子を組み込むゲノム編集をしたと説明していますが、ゲノム編集によって生まれた双子の女の子が本当にHIVに感染しないかどうか確かめるために、実際にHIVのウイルスを投与する実験がおこなわれることになるでしょう。そうでなければゲノム編集が成功したのか失敗したのか確認できません。

この実験は人体実験です。つまり双子の女の子は “被検体として造られた” ことになります。ナゼ双子なのか?理由は簡単です。対照実験をするためでしょう。 一卵性双生児の遺伝子は同一です。詳細は知りませんが一方の子だけにゲノム編集をして2人同時にHIVウイルスを投与することで、ゲノム編集が成功したかどうかが確認できます。

2人の子の父親はHIV感染者だという情報もあります。ゲノム編集をしなかった子はHIVに感染し、ゲノム編集をした子はHIVに感染しなかったことが確かめられれば、ゲノム編集によってHIVの感染が予防できることになります。そのために一卵性双生児が被検体として造られたのでしょう。

被検体が動物であれば問題ありません。しかし人間でそれをやっていいのか? それが大問題です。研究者は不妊治療として、遺伝性?のHIV治療としてゲノム編集をおこなったと主張しています。ゲノム編集をしなければ子供は2人とも先天的にHIVキャリアとして生まれたはずだと主張しているのでしょうか?

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このへんの知識がないのでなんとも判断できませんが、例えばアンジェリーナ・ジョリーが乳がん予防のために健全な乳房の切除手術したことが世界に衝撃を与えましたが、その理由は乳がんになりやすい遺伝子を持っていることがわかったためと伝え聞いています。遺伝子のどの部分が乳がんに関係しているのか、1ヶ所とは限りませんがその部分が特定されているなら、その部分を編集することで乳がんにかかるリスクを下げられることになります。本人の同意を得て遺伝子治療としてゲノム編集することは問題がないでしょう。

他にⅠ型糖尿病や血友病など遺伝病であることがわかっている病気について、受精卵がまだ胚の段階でゲノム編集して病気の原因となるゲノムを切り取って健全なゲノムと交換したり、不足しているゲノムを組み込んだりして胚のうちに遺伝子治療をすることができれば遺伝病を持つ親にとっては福音となることでしょう。

新薬投与による治療法、新しい手術法、粒子照射による物理療法、等々みんな同じですが、実際にヒトに対して施してみてその結果を観察するという最後の段階が必要です。しかしこうした治験には本人もしくは親権者、親族の同意を必要とするのが当然条件とされています。

胚の段階でゲノム編集という遺伝子治療をする場合には、卵子提供者(母)と精子提供者(父)の同意が必要となるでしょうが、胚(生まれてくる子供)にとってはまったくあずかり知らぬことで、結果として何もしなかった場合より悪い状態、つまり治療が失敗しただけでなく思わぬ副作用が起こってしまった場合、生まれてきた子供に誰が責任を取るのか?苦しむのは子供自身ではないか?という疑問が残ります。このへんが生命倫理に関わるのでしょう。

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自分が遺伝病である場合、あるいは遺伝病の原因となる因子(ゲノム)を持っていることがはっきりわかっている場合、結婚しても子供を産まないことが社会全体の利益になると考えられますが、一方で子供を産むかどうかは個人の人権に関わることであり、遺伝病の因子を持っているから子供を産むなとは言えないでしょう。仮に重い遺伝病を持つ場合に限って子供を産むことを制限するとしても、その線引きは困難でしょう。

胎児の段階で遺伝子検査をして結果によっては父母の同意を得て妊娠中絶するする方法もありますが、特に母親の体と心に大きな負担がかかります。体外受精して胚の段階で遺伝子検査をして遺伝病の因子を持たない胚を選んで(エンブリオ・チョイス)母親の子宮に戻すという方法なら受け入れやすいと思われます。上記の中国の研究者はこれと同じ意識でゲノム編集をしたのでしょう。

しかしヒトゲノムの編集は、病気治療が目的なら倫理的に受容できますが、さらに研究が進めば特定の才能や知能そのものを高めることを目的としておこなうことが可能になるかもしれません。遺伝子操作で天才が作れるなら社会的利益になるんじゃないかと単純に考えがちですが、さらに先を考えるとそうとも言い切れません。

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例えば、肉体的にも精神的にも屈強な兵士を作るために国家主導で大規模な数の人間に対してゲノム編集がおこなわれるとしたらどうでしょう?兵士の適性として「敵兵士に対しては躊躇なく攻撃を加え、結果として民間人を殺傷しても作戦上やむを得ないこととして良心が痛まない」という性質があります。

戦争になれば平和時の常識とはまったく違う観点で意思決定と行動が必要とされる場合が多々あります。人道的観点や人間的感情から決断と行動を躊躇したために自らの命を落とす場合があり、また敵兵を殺傷することにいちいち良心を痛めていては作戦に支障が出るばかりか、除隊後にトラウマを残してその後の生活に支障が出る場合も多々あります。

良き兵士が良き人間とは限らずその逆もまたありうるのが人間であり、そのあたりの加減は難しいでしょう。さらに前線で戦う兵士と前線指揮官である下士官や将校、さらに作戦を立案する作戦参謀や全体を指揮する将軍では適性が異なってきます。それらが完全に分業化されて、生まれたときから役割が決まっているとしたらどうでしょう?もはや人間に自由意思はなく真社会性生物のシロアリと変わらなくなってしまいます。

上記はわかりやすい例として“軍人製造”について考えてみましたが、社会全体でも各々の職業には適性が求められますから程度の差はあっても同様と考えてよいと思います。それらも含めてゲノム編集は人類進化の必然だと言えるかどうか?

意見はいろいろあると思います。議論するつもりはないのでコメントは受け付けませんが、社会全体の利益の追求と個人の自由意思の尊重は必ずしも一致しないのが人間だと思います。ヒトゲノム編集が生命倫理に抵触するのはそこに行き着くからだと思うのですがどうでしょうか?





テーマ:海外ニュース - ジャンル:ニュース

カラス の おみくじ 宇夫階神社(香川県宇多津町)

ただのカラスじゃありません。
3本足の八咫烏(やたがらす)です。
3067_192x180.jpg カワイイ。(*´`)

3本足の八咫烏は、日本サッカー協会のシンボル・マークに描かれています。

「八咫烏」が日本サッカーのシンボルになった理由

カラスのおみくじは香川県宇多津町にある宇夫階神社にありました。

宇夫階神社から引用します。
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宇夫階神社(うぶしなじんじゃ)は、香川県綾歌郡宇多津町にある神社。式外社だが、『日本三代実録』に記載された国史見在社である。近代社格では県社。
御祭神は大己貴命。参拝すれば、御朱印を頂ける。
(筆者注:大己貴命=大国主命)

創建は古く、紀元前より多郡津之郷に鎮座し、宇夫志奈大神と称え祀られていた。古くは宇多津はもとより土器・川津・飯野・坂元と相当広範囲にわたる産土神だったと伝わる。

日本武尊の御子である武皷王が阿野郡(現 綾歌郡)の国造となり、内海を舟で巡視している途中で暴風雨に遭い、宇夫志奈大神に祈念すると、小烏 が飛来して風波をしのいだ。そのため、小烏大神とも。

武皷王の伝承は、東かがわ市の白鳥神社、三豊市高瀬町の大水上神社など、関連の伝承は丸亀市綾歌町栗熊西の宇閇神社、塩飽諸島本島の木烏神社などにも残る。

第51代平城天皇の大同元年(807年)、朝廷の勅命により社殿を造営し、現在地に遷座。平成19年(2007年)は、遷座1200年に当たった。

第56代清和天皇の貞観6年(864)11月15日に勅使下向し位記を進め、位田を賜い、正六位上より従五位下を授かった。第59代宇多天皇の寛平3年(891年)9月24日に従五位上に昇叙。明治27年(1894年)には県社に昇格。

社殿は、昭和48年(1973年)に火災により焼失し、再建された。

特に本殿は、伊勢の神宮(伊勢神宮)の第60回式年遷宮の時に「郷古材の領賜」を申請、結果、豊受大神宮(外宮)の別宮である多賀宮の御正殿を昭和51年(1976年)に下賜され、復元造営された。国の登録有形文化財。

社殿後ろの巨石磐境(いわさか)は、神社創建以前の古代祭祀の遺構といわれ、町指定の天然記念物になっている。

末社の金刀比羅神社に懸かる絵馬額の「網の浦眺望青野山真景図」は、安政2年(1855年)に描かれた町並みで、江戸時代から今も変わらぬ宇多津の街の姿に歴史的重みを知る貴重な資料となっている。

境内社は他に、塩竃神社がある。昭和9年(1934年)に合祀奉遷。

10月に行われる秋の例大祭には神輿渡御があり、町内外より多くの人が訪れ賑わう。10月10日は初白祭(はつもうし)で特殊神事であるおとぐい神事が斎行される。

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たしかに足が3本あります。300円。
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背中に『宇夫階神社』とハンコ?が押してありました。
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鳥居をくぐって境内に入ると石段の手前と上にさらに鳥居があります。
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拝殿内に掲示されてた絵画
奉納 平成二十八年六月二十八日 マークエステル画伯
天照大御神と豊受大御神の祝福を受ける大己貴命(大国主神)
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因幡の白兎の神話を描いているらしい。

拝殿の右奥に祀られている巨石磐境(いわさか)。
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神社創建以前(紀元前?)の古代祭祀の遺構らしい。

この小山は元々は海沿いにあり、神代の昔から頂上の巨石が信仰されてきたのでしょう。頂上の巨石付近にはたくさんの石の社がありました。この近辺だけでなく、隣接する今の丸亀市や坂出市まで広い地域の産土神として祀られてきたようです。2000年前からあるパワースポットですが、各地の氏神様がここに習合してさらにパワーアップした感じです。郷照寺もこの近くにあります。

境内には金毘羅大権現も祀られている。
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宇多津町は、塩田で栄えた時代がありましたが、現在は塩田跡の埋立地に新しい戸建住宅団地や高層マンションが建つ新興住宅地になっています。香川県で唯一人口が微増している町です。

宇多津は古くから開けた土地で、室町時代には三代将軍足利義満の後見役をつとめた四国管領細川頼之の館があった場所でもあります。

宇夫階神社は、大己貴命(大国主命)が御祭神となっており、海上安全の御利益のほかに、縁結びの御利益もあるとされています。ナゼ宇多津に出雲大社に祀られている大国主命が祀られているのかは知りませんが、讃岐も大国主命によって譲られた土地だったのでしょう。地理的に見ても讃岐が古代出雲王朝の勢力範囲にあってもおかしくないように思います。昔の出雲は朝鮮半島や大陸に近く、貿易で栄えた先進地域だったという説もあります。

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カラスのおみくじは、上記に引用した『小烏の逸話』から来ているものと思われます。小烏が八咫烏だったのかどうかは知りませんが、水先案内をしたカラスということで八咫烏ということなっているのでしょう。「カラスおみくじ」で画像検索すると、多くはありませんが、京都などにもチラホラあるようです。

香川県内の神社にカラスおみくじがあるとは知りませんでした。境内は閑散としていて本物のカラスが鳴いていましたが、可愛いのでさっそく1羽授かりました。おみくじは、1番の大吉。(^^) 参道には旧家とおぼしき立派なお屋敷がズラリ。道ですれ違った地元の小学生から「こんにちは」と挨拶されました。宇多津町は神様に守られてる町ですね。うん。ヽ(・∀・)ノ



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蛇足ですが・・・
「カラスのおみくじ」は、販促品としてamazonで売ってました。(^^;




テーマ:神社仏閣 - ジャンル:学問・文化・芸術

伊方原発差し止め、住民の抗告棄却…高松高裁 プルトニウムはどうする?

愛媛県の四国電力伊方原子力発電所3号機の差し止め訴訟。

大分地裁に続いて高松高裁でのも原告敗訴の判決が出ました。

原告敗訴とは、伊方3号機の差し止めを認めないという判決です。

以下、読売新聞から一部引用します。
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伊方原発差し止め、住民の抗告棄却…高松高裁
読売新聞(YOMIURI ONLINE) 2018年11月15日


 四国電力伊方原子力発電所3号機(愛媛県伊方町)について、愛媛県の住民10人が運転差し止めを求めた仮処分の即時抗告審で、高松高裁は15日、住民側の抗告を棄却した。3号機は10月27日に再稼働しており、今月28日から営業運転を行う。

 最大の争点は、1万年に1回とされる巨大噴火が阿蘇山(熊本県)で起きる可能性とその影響だった。神山隆一裁判長は「阿蘇山で巨大噴火が生じる可能性が相応の根拠をもって示されていない」と述べた。

(以下省略)
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「1万年に1回とされる巨大噴火が阿蘇山(熊本県)で起きる可能性とその影響」
については、広島高裁が差し止めの仮処分を認めた画期的なトンデモ判決(野々上友之裁判長)の時にも記事を書きました。

この広島高裁が伊方3号機の差し止めの仮処分を認めた判決は、四国電力側が異議申し立てを行い、広島高裁でもう一度審理され、別の裁判官(三木昌之裁判長)が差し止めの仮処分を取り消す決定を出しました。

読売新聞の記事によると「(高松高裁の)神山隆一裁判長は「阿蘇山で巨大噴火が生じる可能性が相応の根拠をもって示されていない」と述べた」とありますから、伊方3号機の差し止め理由としては、阿蘇の大噴火以外になかったということなのでしょう。

四国新聞(香川県の地方紙)11月16日朝刊の記事を引用しておきます。
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現政権の原発政策は、安全基準を満たしたものについては再稼働を認め、新規の原発建設を認めず徐々に原発を廃止していく方針のようです。伊方原発は四国電力唯一の原発で、1号機と2号機の廃炉はすでに決定しており、もっとも新しい3号機のみ再稼働の方針です。設備投資を少しでも回収したいというのが四国電力の本音でしょう。

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原子力発電はかつて『夢のクリーン・エネルギー』と言われてきました。完全にコントロールできれば、確かに原子力はクリーンかつコスパのよいエネルギーなのですが、「事故が起きた場合の有効な対策方法がない」という決定的弱点がありました。かつて政府は事故が起きた場合の対策方法を未来に託したまま、見切り発車の形で、「日本の原発は絶対に安全」と宣伝し、電力会社とともに官民一体で原発政策を推し進めてきました。

東日本大震災の津波災害で福島原発がメルトダウンという最悪の事故を起こし、原発の安全神話が一気に崩れてしまいましたが、そうでなくても原発から出る核廃棄物の最終処分についても目処が立たないまま原発政策が推進されてきたという事実があります。

「核燃料はリサイクルして再利用していくので原発から核廃棄物は出ない」ということになっていたのでしょうか。しかしいくら再利用するとはいえ放射線量が安全な低い値になるまで再利用できるとは思えません。核廃棄物の最終処分方法については原発用地内に穴を掘って埋めることになっていたのでしょうか。

ペットボトルなどのゴミ問題もそうですが、今までの日本人は、資源が『ない』ことに悩んできましたが、核問題に関しては核物質が『ある』ことに悩んでいます。『ない』悩みは別のもので代替すれば解決できますが『ある』悩みは解決が難しそうです。

核燃料に使われているプルトニウム239の半減期は24,110年ですが、「半減期が2万4000年」ということで、2万4000年たてば安全になるわけではありません。しかも原発の稼働を差し止めても大量のプルトニウムが原発の中に燃料棒として残っています。廃炉が決定してもプルトニウムは残るのです。最終的にコレをどうするつもりなんでしょうか?

四国電力が伊方3号機の再稼働にこだわったのは原発にかかった設備投資を回収したいという理由のほかに、すでに持っている核燃料を有効に使いたいという理由もあったのではないでしょうか。プルトニウムは、使わなければタダのゴミどころか、どうしようもない有害物質です。原発以外でのプルトニウムの用途は、原子力潜水艦の燃料か、核兵器の原料くらいしか思いつきません。どっちも日本は持つ予定がないので、プルトニウムは処分に困るだけなのではないでしょうか。

プルトニウムは重金属中でも毒性が強い発がん物質として知られ、封印してれば絶対に安全なんてありえません。プルトニウムの存在自体が人類にとって有害といえます。プルトニウムは自然界に存在しない人工元素と考えられてきましたが、現在はウラン鉱石中にわずかに含まれていることがわかっています。

自然界にはほんのわずかしか存在しないプルトニウムをワザワザ大量生産してしまった人類は、パンドラの匣を開けてしまう愚を犯したということなのでしょう。

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日本国内では原発廃止に向けて進むでしょうが韓国や中国にも原発はあります。韓国では今後原発を廃止する方向に向かうようですが中国ではどうなんでしょう?黄砂が日本まで飛んでくるくらいですから風向きからすると中国の原発で大事故が起きれば飛散した有害な放射性物質は日本にも到達するでしょう。朝鮮半島北部には原発の燃料に使えるウラン鉱石が豊富にあるそうですから、石油資源のない北朝鮮はいずれ多数の原発を建設するでしょう。

・・・結局、原発は日本だけの問題ではないということですね…(´д`|||)

日本から完全にプルトニウムをなくす方法は・・・日本から遠く離れた開発途上国に原発とセットにして輸出することでしょうか。危険なモノとわかっていて輸出する・・・経済界の人たちはコレを一石二鳥と考えるかもしれませんが一般人の私としてはこういう方法は倫理的に問題があると思います。それにもし事故が起きれば地理的に遠くても巡り巡って有害な放射性物質が地球全体に蔓延する可能性があります。コスモクリーナー?みたいに放射性物質を短時間で無害にする方法はないものでしょうか?





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機本伸司 『卒業のカノン』 ネタバレ 感想 アナザー・ストーリー を考えてみた。

『卒業のカノン』

『神様のパズル』でデビュー後、続編『穂瑞 紗羅華の課外活動シリーズ』も
『パズルの軌跡』『究極のドグマ』『彼女の狂詩曲』『恋するタイムマシン』
と続いて、いよいよ『穂瑞 紗羅華シリーズ』6作目にして最終話です。



思い出すまま、容赦なくバンバンネタバレしますので、
まだ読んでないけど、これから読みたい人はスルーしてください。


記憶違いの部分もあるかと思いますが、そこは許してください。

機本伸司さんの本を読むのはいちおうこれで一旦終了します。


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本作のテーマは、地球温暖化とエネルギー問題ということになってます。

エネルギー問題解決のために、大規模太陽光発電を目的とした巨大静止衛星を建造し、そこで発電した電力をマイクロ波に変換して地球上に送るシステムを開発したアルテミSS社。日本向け太陽光発電衛星の稼働開始式典に出席するため、アルテミSS社の会長にしてその親会社ゼウレト社のCEOを務める日系アメリカ人のシーバス・ラモンが来日することになった。

太陽光発電衛星は試験的にアメリカ向けと日本向けの2つが建造され2つともすでに静止軌道にあるがアメリカ向けのほうは受電施設で保守ロボットの異常作動により事故が起きて稼働が延期されていた。そのため日本向けの衛星による太陽光発電と電力の変換移送が世界初の稼働となる。わざわざ会長のシーバス・ラモンが来日して稼働式典に参加するのもそのためだった。

いろいろとヤバイことに手を出して大儲けしているラモンに対してはネット上で脅迫やテロ予告などがたびたびなされていたが、今回の稼働セレモニー出席に際しては特別に警戒していた。ついては会長の来日に際してアルテミSS社から、ラモン直々の指名により、紗羅華にセキュリティ・アドバイザーを依頼したいという。

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綿貫と大学時代に同じゼミだった佐倉はアルテミSS社の営業部にいた。紗羅華とも面識がある佐倉はセキュリティ・アドバイザーを紗羅華に依頼するために綿貫に連絡を取ってきた。綿貫はゼウレト社とラモンに対して恨みを持っている紗羅華が引き受けるわけがないと断るが、佐倉から紗羅華との仲を取り持ってやるという交換条件?に乗って、SHI(粒子加速器“むげん”内にある紗羅華専用の研究室)で佐倉を紗羅華を引き合わせる。

営業マンの佐倉は太陽光発電衛星が人類のエネルギー問題を解決すると紗羅華に訴えるが、紗羅華は人類が地球温暖化の原因とされるCO2の大きな発生源である自動車に依存したまま、宇宙で発電した電力を地球で使うシステムを作るのは矛盾していると言う。自動車の使用を止めるのが先で、宇宙で発電した電力は宇宙開発に使うのが効率的ではないかと言うのだ。

太陽光発電衛星が人類を滅亡から救うことになる。だから協力して欲しい。と食い下がる佐倉に、ナゼ私が矛盾したことを延々とやり続ける人類を救わなければならないのか?自己矛盾を解決できないまま滅亡に至るなら、所詮人類はその程度の生き物だったというだけで自分には関係ない。私は赤の他人を救いたいなどとは思わないと紗羅華は言う。

予想通りのそっけない紗羅華の態度に綿貫は佐倉を気の毒に思うが、紗羅華を説得できずに帰っていく佐倉は、紗羅華は以前に比べて成長したと言う。大学卒業後も紗羅華と接してきた綿貫は気付かなかったが、以前の紗羅華ならワザワザ理由を説明したりしなかっただろうと言うのだ。

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佐倉の依頼をあっさり断った紗羅華だが、ゼウレト社のアメリカ本社から栄転してアルテミSS社の開発部長として赴任してきた辺見理央と会ってから気が変わり、ラモンのセキュリティ・アドバイザーを引き受けることになる。理央と紗羅華はアメリカにいた子供時代からの旧知の仲であり、紗羅華の兄ティベルノ・アスカと理央は同年で恋人同士だった。理央に可愛がってもらった紗羅華は理央を姉さんと呼んで慕っていた。

理央は紗羅華と同じゼウレトの精子バンクによって生まれた天才であり、ゼウレト社が作り出した天才たちの親睦団体アポロン・クラブの中核メンバーのひとりだった。兄ティベルノもアポロン・クラブのメンバーだったが、後にアポロン・クラブを抜けて反ゼウレトのディオニュソス・クラブのメンバーとなった。ティベルノはその後に死亡したとされていた。理央はティベルノとお揃いのペンダントを身に付けており、未だティベルノへの想いを持ち続けていた。

紗羅華がアルテミSS社の依頼を受けたのは、今回のラモンの来日中にテロが起きそうなこと、死亡したことになっているが生きているかもしれない兄ティベルノが関係しているかもしれないと思ったからだった。テロ予告と思われるプログラムを解析したところ、MORIYATという名前らしき綴りが発見された。MORIYA=森矢、T=Tiberno と解釈すれば、兄ティベルノを思わせるが、紗羅華はテロの首謀者がワザワザ名乗るはずがないと言う。

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理央とともにラモンに同行し、ヘリで受電施設がある人工島に向かおうとした紗羅華たちは、複数台の自動運転車に襲われる。駐車していた完全自動運転の自動車が突然無人のままエンジンを始動して走り出し、ラモンに向かって猛スピードで向かってきたのだ。遮るものが何もないヘリポートでは車を避けるしかないが、何台もの車を避けるには限界があった。

このままではひき殺される。恐怖に怯えるラモンに対して紗羅華は持っているスマホをすべて出すように言う。しかしラモンは機密情報が入っていると言って渡さない。紗羅華はラモンの内ポケットからスマホを奪って走りだした。無人の自動車はラモンのスマホのGPS情報を頼りに動いていたのだ。2台の無人自動車に挟み撃ちにされそうになった紗羅華はスマホを芝生に投げ、無人自動車は衝突して大破した。綿貫がかばったものの紗羅華は骨折など全治1ヶ月の怪我を負った。

ラモンは太陽光発電衛星の稼働式典を欠席するだけでなく日本での予定をすべてキャンセルして紗羅華と同じ病院のVIP専用病室に引きこもるが、今度は人工衛星が何者かに制御能力を奪われたという知らせが入る。レーザーに近いピンポイントでマイクロ波を人工島の受電施設に向けて放出し始めた太陽光発電衛星は、マイクロ波の的を徐々に太平洋側にずらし始めていた。

やがて愚弄するかのように人工衛星はマイクロ波で洋上に∞の字を描き始めた。完全に人工衛星のコントロールを奪われたアルテミSS社に要求が出された。ラモンに受電施設がある人工島に来いというのだ。要求に従わない場合、マイクロ波を使って世界中の自動運転車を暴走させるという。

人工衛星から放出されているマイクロ波そのものは高出力レーザーのように直接人間に被害を与えるものではないが、自動運転車は先進国ですでに広く利用されており、これらが暴走を始めると大惨事になるというのだ。紗羅華はETCシステムを利用して世界中の自動運転車にマイクロ波をトリガーとして暴走させるプログラムがすでに書き込まれていると推測する。

ラモンも警察もまだ怪我が癒えていない紗羅華に助けを求めるが、紗羅華は承諾しない。もし兄が首謀者なら妹を危ない目に遭わせるような手段をとらないと考えたのだ。紗羅華はラモンを守るためにセキュリティ・アドバイザーを引き受けたわけではなく、兄に殺人の罪を犯させたくなかったから引き受けたのだ。世界中の自動運転車が暴走して大惨事になろうが自分には関係がないことだと紗羅華は言う。またしても綿貫がヒューマニズムで紗羅華の説得を試みることになる。

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ということで・・・疲れたので後は省略します。(^^;

本作の真のテーマは、紗羅華と綿貫のピュア・ラブらしい。Amazonのレビューはおおむね高評価ですが、他のブログの書評を見ても太陽光発電衛星によるエネルギー問題の解決よりは、断然こっちのほうを評価しているようです。

機本伸司氏の「あとがき」では、『神様のパズル』についてはさておき『穂瑞紗羅華の課外活動シリーズ』については角川春樹氏から頼まれて書いた「ライトノベル」と自分で書いているので、こういう結末でよかったのでしょう。

シリーズを読んでいて紗羅華をキュートで可愛い女子高校生と思ったことがないのですが、いつの間にか、あるいはシリーズ化してからずっと「キュートで可愛い天才美少女」という設定になっていたんですね。正直なところ、よくわかりませんでした。

エキセントリックな天才美少女紗羅華と幼稚で間抜けだがハートフルな綿貫基一。ラノベの主人公としてはいい組み合わせだと思います。延々と続く綿貫の間抜けなモノローグと紗羅華とのダイアログがほとんどというのもラノベっぽい構成です。

綿貫が5つ年下の女子高校生に引っ張り回され、紗羅華の言動に一喜一憂する様子は面白いですが、大学を出て社会人になっているのに女子高校生からバレンタインチョコをもらえるかどうか気にするとか「なんだ?綿さんも子供じゃないか?」とか思ってしまいました。(^^) 綿さんの精神年齢は普通の高校生並みですね。

このままでは人類は滅亡する。人類を滅亡から救えるのは天才美少女高校生の紗羅華だけ。というような設定がしばしば出てくるのも中二病っぽくて面白いです。

このシリーズ、専門用語が多くてわかりにくいというレビューがチラホラ見られますが、テーマが紗羅華と綿貫の関係ならわからない部分を飛ばし読みして問題ありません。難しい言葉を使いたがるのも中二病の特徴だと思えば面白いです。

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結局『穂瑞紗羅華の課外活動シリーズ』を順番に全部読んだのですが、最後までよくわからなかったのは紗羅華の母、亜里沙です。「あのお母さんだから」と時々綿貫が言っていますが、影が薄くて謎が残りました。渡米して高額な代金を支払って精子バンクから買った「天才の遺伝子」で人工授精して紗羅華を産み、しばらくアメリカで子育てしていたようですが、動機や背景がよくわかりません。説明があったけど忘れてるだけかもしれませんが・・・(^^;

紗羅華の遺伝的母親は別にいる?と思ったこともあったのですが違ったようです。王兵牌のように遺伝子操作されて生まれたわけでもないことが本作で明らかになりました。亜里沙と紗羅華の母子関係はどうでもいい扱いですが、紗羅華の出生にまつわる話を読みたかったです。もしアニメ化するなら追加で1話お願いします。

なんだ? このフィギュアみたいな顔は?
やっぱり紗羅華のイメージと違うような。

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アナザー・ストーリー 『卒業のレクイエム』

『穂瑞紗羅華の課外活動シリーズ』が角川春樹氏の肝いりということであれば、機本伸司さんもこういうオチにせざるを得なかったと思いますが、これだけではもったいないので、別のエンディングを考えてみたいと思います。

『卒業のカノン』がグッドエンドならば、『卒業のレクイエム』というバッドエンドを考えてみたいと思います。機本さんは神様のパラドックスというスピンオフ作品を書いていますから、『卒業のカノン』のパラレル作品を書いても不思議はないでしょう。

紗羅華は16歳にしてすでに世界的な物理学者になりましたが、母親の影があまりにも薄い。父親の森矢慈英は優秀な物理学者ですが、母親の亜里沙に関してはほとんど書かれていません。

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『卒業のレクイエム』 (バッドエンド)

ゼウレト社は精子バンクを利用したいという女性を募り高額な報酬を取って人工授精を施していましたが、実は卵子バンクもあり卵子の提供もおこなっていました。精子だけでなく卵子の提供をも受けた母親はいわば代理母に過ぎなかったのです。卵子は現役の女性科学者等をスカウトして高額な報酬と引き換えに提供してもらったものでした。

肌の色や顔立ちが母親と大きく異なっていれば外見上まったく似てない子供が生まれ育つことになるので、外見もある程度似ている女性の卵子を選んで、いわば「天才の女性」の卵子に「天才の男性」の精子を用いた受精卵を依頼者の女性に提供したのです。母親が凡庸であっても天才の子が生まれる仕組みです。

精子バンクの利用希望者には自分の卵子を使用する「表のコース」と天才の女性の卵子を提供してもらう「裏のコース」と2つのコースが提示され、依頼者はどちらのコースを選ぶか選択できました。確実に天才の子供が欲しいならば、2倍以上の高額になるが後者を選ぶ女性もいたのです。紗羅華の母亜里沙は後者を選んだのでした。

亜里沙の実家穂瑞家は優秀な血筋の家系でした。数多くの学者や実業家を輩出しており、亜里沙の兄弟姉妹も皆優秀でしたが、亜里沙だけが凡庸で両親は亜里沙に失望していました。内向的な亜里沙は自分の存在価値に悩みアメリカの大学に留学して卒業後も帰国せずにいました。その頃アメリカで精子バンクを利用してシングルマザーになることを選択する女性がいることを知った亜里沙は天才の子供を持つことで自分の存在価値を見出そうとしたのでした。

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ラモンが紗羅華を特別扱いしたのには理由がありました。ラモン自身も生まれながらの天才でしたが、自分を含めて高い知能を持つヒトの複数箇所の遺伝子配列に共通点があることを発見していました。

紗羅華は、東洋人の天才の母親の卵子と森矢慈英の精子の授精卵にラモン自身の遺伝子を組み込んで生まれたのでした。このことは亜里沙を含め依頼者の女性には秘密にされていました。兄のティベルノも同じでしたが、ティベルノの母親はその事実(ラモンの遺伝子を組み込まれたこと)を偶然知ったために幼いティベルノを放棄してしまったのでした。

アポロンクラブのメンバーのすべてがラモンの遺伝子を組み込んで生まれた天才ではありませんでしたが、ティベルノ、理央、紗羅華、王兵牌にはラモンの遺伝子が組み込まれており、言わばラモンにとって血の繋がった実の子も同然だったのです。その中でももっともラモンに似ていたのが紗羅華でした。

紗羅華の利己的な性格はラモンにそっくりでした。理央はラモンの遺伝子を組み込まれたことを知ってから、自分自身を嫌悪していました。理央はティベルノを愛していましたが、ティベルノはすでに死んでいます。理央はラモンを殺し、自分と紗羅華も消してしまうことで、自分なりの決着をつけようとしたのでした。

紗羅華はその事実を理央から聞かされます。しかし紗羅華は生きてTOEを見出す道を選びます。理央からラモンを守り、理央は自滅して死亡しましたが、事故死として処理されました。この時紗羅華は、今までの悩み多き人生を過去に葬り、ワンのように自分が生まれた目的を自覚して、その目的のために生きることを決断したのでした。

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真実を知った紗羅華は、父森矢慈英のいるアメリカに渡り、IJETOの研究に携わりながらアメリカの大学に留学する道を選びます。自分は普通の人間として生きられないことを覚悟した紗羅華は、綿貫に今まで自分を支えてくれことについて礼を述べ、綿貫と過ごした時間は自分にとって生涯の宝物だと言います。紗羅華は綿貫を見上げ、さびしげに笑って言います。「君とは今度こそ本当に絶交だね」

別れを告げて去っていく紗羅華の背中に向けて綿貫は叫びます。

「君はそれでいいのか?僕は君を愛している。僕が愛しているのは、いいところもそうじゃないところも全部含めて今のままの君なんだ。僕はこれからもずっと君に寄り添っていきたい。君がアメリカに行くなら僕もアメリカに行く。ずっと一緒に生きていこう。それじゃダメなのか?」

立ち止まり振り返らず綿貫の言葉を聞いていた紗羅華は声を震わせて言います。

「綿さん、ありがとう。でも、わかったんだ。私と一緒だと綿さんは幸せになれない。綿さんが私のために自分の人生を犠牲にすることはない。そんなことをされると私も辛い。だから、ここで別れたほうがお互いのためだ。今の私の気持ち・・・たぶんこれが人を愛するということなのかな。私のことは死んでしまったと思って欲しい。さよなら。綿さん」

紗羅華は1度だけ振り返って無理して笑います。頬には涙が流れていました。

初めて見る切なく悲しげな紗羅華の眼差しに、綿貫は何も言えず立ち尽くします。

ほんの少し綿貫と見つめ合った後、紗羅華は背を向けて決然と去っていきます。

もはや引き止められないと悟った綿貫は紗羅華の後ろ姿を見つめるだけでした。

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まーこういうエンディングもいいかな。と思って書いてみました。(^^;

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アフター・ストーリー (トゥルーエンド)

それから10年後、綿貫は33歳になっていました。ネオ・ピグマリオン社でカウンセラーとして忙しく働く日々。一時期、綿貫は自分に想いを寄せる森下さんと結婚を前提に付き合っていましたが、綿貫の心から紗羅華への想いが消えることはなく、森下さんは綿貫をあきらめて会社を辞めていきました。

そんな時、紗羅華がフィールズ賞を授賞したとのニュースを知った綿貫は、紗羅華がますます遠くに行ってしまったような気がして、紗羅華の授賞を喜ぶ気持ちと同時に寂しい想いを抱きます。ネットやテレビのニュースで見る紗羅華はインタビューに気さくに応じる大人の女性に成長していました。

紗羅華は父とともにアメリカでアスタートロンを使った素粒子の研究をしていましたが、大学卒業後は数学の道に進みTOEにつながると期待される画期的な数学理論を発表してフィールズ賞を授賞したのでした。報道陣に迎えられて日本に帰国した紗羅華はテレビ出演や講演活動などを精力的にこなしますが、綿貫への連絡はありません。

綿貫の心は乱れます。自分から連絡しようかどうしようか迷っていた時、紗羅華はスケジュールの合間をぬって綿貫に突然会いに来ます。

「綿さん、久しぶりね。日本の大学からオファーがあって、これからは日本で物理の研究をしようと思うの。そこで綿さんに手伝って欲しいんだけど頼まれてくれるかしら。やっぱり私には綿さんが必要だってわかったの。物理には綿さんのヒラメキが必要だって。お願い、引き受けてくれるかしら?」

- fin -





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